2-2-2 展覧会記録 (2017年)

▶ 2019年   ▶ 2018年   ▶ 2017年   ▶ 2016年   ▶ 2015年   ▶ 2014年   ▶ 2013年   ▶ 2012年   ▶ 2011年
▶ 2010年   ▶ 2009年


 ■2017年  展覧会  ■2017年  美術館大学、授賞式
第25回企画展


 5/13(土)〜9/30(日)
 Takashi Akiyama Poster-9
 秋山孝の神秘3「パラダイム」展

 ●5/13(土)
      第37回美術館大学
      「秋山孝の神秘『パラダイム』について1」
     時間:pm3:00~4:30
     講師:秋山孝
     進行:たかだみつみ
     受講料:無料


 ●7/8(土)
     第38回美術館大学
     「秋山孝の神秘『パラダイム』について2」
     時間:pm3:00~4:30
     講師:秋山孝
     進行:たかだみつみ
     受講料:無料


 ●8/4(金)
     第39回美術館大学
     [第一部] 「ランドスケープ・ストーリーズ」
     時間:pm1:50~3:20 / 講師:上野裕治
     [第二部] 「建築における『パラダイム』について」
     時間:pm3:30~5:00 /
     講師:高田清太郎、高田清之介、秋山孝
     受講料:無料


特別展


 10/8(日)〜10/28(土)
 日本ブックデザイン賞2017


 ●10/14(土)
  日本ブックデザイン賞2017 授賞式
     時間:pm2:30-


第26回企画展


 11/4(土)〜11/26(日)
 多摩美術大学大学院イラストレーションスタディーズ
 「メッセージイラストレーションポスター」展9

 ●11/4(土)
     第40回美術館大学
     「日本ブックデザイン賞2017について」
     時間:pm3:00-4:30
     講師:秋山孝、高橋庸平
     受講料:無料


第43回課外授業 長岡市立上組小学校・APM連携展覧会
「12歳のわたし~卒業をむかえる今、自分を見つめて~」

  • 日  時:2018年 2月 24日(土)、25日(日) am10:00-pm3:00
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 主  催:長岡市立上組小学校6年生
  • 入館者数:128名

長岡市立上組小学校(上組小)と秋山孝ポスター美術館長岡(APM)との連携した活動は、APMが開館した2009年から継続しており、今回の展覧会で25回目となる。活動内容は、展示、講演、鑑賞、作品貸出等、多岐に渡る。また、APM館長・秋山孝(上組小卒業)個人との関係はAPM開館前の2000年にさかのぼる。「上組こだま美術館・秋山孝と子どもたち展」(2000年)、「美術とデザイン(講演)」(2000年)、「上組小学校課外授業・学校は美術館(講演)」(2001年)を行ってきた。
今回の展示は「12歳のわたし~卒業をむかえる今、自分を見つめて~」と題し、上組小6年生73名の版画と毛筆を展示した。版画は自画像を、毛筆は漢字一字を作品に仕上げたものである。自画像の版画は、毎日何気なく眺めている自分の顔を改めて見つめなおし、その表情を彫りあげる。毛筆は、自分が伝えたい気持ちを漢字一字に込める。6年生がまもなく卒業を迎え、新たな一歩を踏み出そうとしている今だからこそ、その表情やその一字には、様々な思いが込められていたことだろう。
当日は6年生やその家族の他、地域の人々もAPMを訪れた。家族全員で来館する生徒もいれば、離れて暮らす祖父母と一緒に足を運んだ生徒、中には24日、25日の両日とも訪れた生徒もいた。どの生徒も少し恥ずかしそうに、そして誇らしそうに説明をしていた。自分の作品が美術館に展示されるというのは貴重な経験と言えよう。上組小6年生の展示をAPMで行うことになった時、秋山館長が大切にしたのは、小学生の作品だからこそ、APMで通常展示する作品と同様にきちんと額に入れ、壁面に展示することであった。額に入れられ美術館の壁面に展示されたそれは、自分の作品でありながら自分の手を離れたものでもある。自分の作品を客観的に見つめ、友人の作品と比較し、作品に込められたメッセージを考える。この一連の過程が重要で、卒業を控える6年生にAPMが提供できるひとつの贈り物である。
2017年度は、5月の「APM見学 / 「秋山孝の神秘3『パラダイム』展」と今回の連携展覧会、2回の活動を行った。連携展覧会では、今まで1日だけの開催であったところを2日間に拡大した。土日だけの開催ではあるが、入館人数も増え、習い事等で多忙な小学生も、その保護者も、来館しやすくなったようだ。小さな変化ではあるが、そうしたことの積み重ねがよりよい活動を作っていくと信じている。上組小は美術教育に力を入れている学校ということもあり、APMとの連携した活動も9年目となった。今後も地域の美術教育に貢献すべく、地域の教育機関との連携を大切に考えていきたい。(森山奈帆・APM職員)




第26回企画展 秋山孝ポスター美術館長岡(APM)
多摩美術大学大学院イラストレーションスタディーズ
メッセージイラストレーションポスター展9
2017.11.4(sat)-11.26(sun)







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会場の様子


正面の壁(東側壁面)

火の壁(北側壁面)

地の壁(南側壁面)

美の壁(西側壁面)

プレスリリース

メッセージイラストレーションポスター展9 プレスリリース vol.1

第40回美術館大学

  • 日  時:2017年 11月 4日(土)pm3:00-4:30
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 講  師:秋山孝、高橋庸平
  • 題  目:日本ブックデザイン賞2017について
  • 参加者数:49名

2017年度、秋山孝ポスター美術館長岡(APM)主催のコンペティションである「日本ブックデザイン賞(JBD)2017」を開催した。2017年度より新設された部門もあり、年々進化している。JBD2017では、応募総数552点(一般の部139点、学生の部413点)の作品が集まった。展覧会ではその中から、厳正な審査を経て選出された252点の入賞・入選作品をAPMとAPM・蔵の2ヶ所で展示した。第40回美術館大学ではJBD2017について、審査委員長を務めた秋山孝館長と、一般の部ブックジャケット・四六判部門で北越紀州製紙株式会社賞を受賞した高橋庸平氏から話を伺った。
秋山館長は高橋氏に今回3回目を迎えたJBDの特徴は何だと考えるかと質問した。高橋氏は、セルフパブリッシング部門にあると答えた。セルフパブリッシングとは、企画・編集・制作の工程を自ら行った自己出版の本であり、「自ら働きかけるところの強い部門である」と高橋氏は語った。ブックデザインの歴史上、アーティストが本のデザイン全体を行うことは多々あることだが、他のコンペティションではこのセルフパブリッシング部門に当たるものを見かけない。むしろ既に出版され市場に流通しているもの(JBDでは「パブリッシング部門」に相当)を審査することが多いという。そういったことからも、作品自体の魅力という点からも、セルフパブリッシング部門はJBDが誇る特徴であると高橋氏は語った。
次に秋山館長は、高橋氏が個人的に一番評価の高い作品はどれかと尋ねた。高橋氏は少々考えた後、JBD2017グランプリを受賞した上清涼太氏の「戦争と平和」をあげた。写真の使い方、文字のデザインなどがセンスよく、何より抽象的な表現にもかかわらず、作品のストーリーを感じさせるというのはすごい、と感想を述べた。トルストイの作品は難解とされており、この「戦争と平和」でも階級の違いや国の違いなど、様々な問題が混じりあって書かれている、そういった「うじうじしたもの」が上清氏の作品の鉛色の空に表れていると、高橋氏は続けた。
最後に秋山館長はJBDを続けていく上で、反省点を洗い出し次回にどう改良していくかが最も大切なことであると述べた。確かにJBDは初回の2015年から、2016年にはパブリッシング部門の追加、2017年には装画部門の新設と、毎回改良を重ねている。応募のためのルールを記した応募要項や、必要事項を記入するエントリーシートも前回の課題をふまえた様式となっている。Webサイトに掲載された受賞者コメントのページも、更に魅力的なコンテンツとなるようにと設けられた。そのように一点一点改良を続けることで、JBDは更に魅力的な、唯一のコンペティションとなることができるのだと感じた。(森山奈帆・APM職員)


メッセージイラストレーションポスター展9 開催記念懇親会

  • 日  時:2017年 11月 4日(土)pm5:00-7:00
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 参加者数:30名

「メッセージイラストレーションポスター展9」開催を記念して、懇親会を開催しました。


メッセージイラストレーションポスター展9 掲載情報




The Japan Book Design Award 2017
日本ブックデザイン賞2017
作品展 2017.10.8(sun)-10.28(sat)





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プレスリリース

日本ブックデザイン賞2017作品展 プレスリリース

日本ブックデザイン賞2017 作品展および授賞式

  • 展示期間:2017年 10月 8日(日)~28日(土)
  • 授賞式:2017年 10月 14日(土) pm2:30~pm5:00 / 参加者:110名
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡



今年も「日本ブックデザイン賞(JBD)2017」を開催した。応募総数552点(一般の部:139点、学生の部:413点)の内、厳選なる審査の結果決定した入賞・入選作品全252点を秋山孝ポスター美術館長岡(APM)に於いて展示した。今年はAPMの通常開館と同様に事前の予約制とし、作品展示会場もAPM・本館と蔵の2施設を使用し、ガイド付で案内する形をとった。展示期間中の10月14日(土)には、授賞式も執り行った。毎年、進化を続けるJBDだが、今年は応募部門に「装画部門」を新設し、更に内容の濃いものとなった。
授賞式には、今年も全国から多くの受賞者、入選者、来賓にご列席いただいた。まずAPM館長・審査委員長の秋山孝が挨拶をした。今年で3回目の開催となるが、長岡という地方都市での開催にも関わらず、500点を超える応募作品が全国に留まらず海外からも集まることに驚愕していると共に、長岡が魅力的なまちであることを実感したと語った。続く審査員およびAPM運営委員会会長・豊口協氏の挨拶では、「本屋にはそれぞれの国の文化が反映している」という持論から始まり、JBDから世界へ新たなる文化の発信を期待する言葉が述べられた。また、長岡市副市長・水澤千秋氏と協賛の北越紀州製紙株式会社長岡工場長・谷口喜三雄氏から祝辞を賜った。谷口氏の挨拶の最後には3回に渡る協賛へ感謝し、秋山館長より感謝状を贈呈した。
賞状授与では、受賞者それぞれから喜びの言葉を頂戴した。一般の部 ブックジャケット・四六判 金の本賞の作品でグランプリを受賞した上清涼太氏は、「今度はブックデザイン・パブリッシング部門(既に商業出版している本の部門)に応募できるよう頑張りたい。」と自身の更なる発展と再びの応募への意気込みを語った。
式典に続く懇親会ではまず入選者の賞状授与を行い、その後出席いただいた3名の審査員の方から、受賞者への賛辞と応募作品全体のレベルアップを期待する激励の言葉が語られた。列席者同士の歓談に花が咲き、和気藹々とした楽しい雰囲気の中、JBD2017授賞式が幕を閉じた。
秋山館長は3回のJBDを通して、皆が本の持つ魅力と価値を認識していることがわかったという。応募作品1点1点に費やされた時間とエネルギーを集めると膨大な量のパワーとなる。それは、JBDの更なる発展の後押しとなるはずである。 (たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)



長岡まちなかミュージアム2017
秋山孝のメッセージ
2017.9.1(fri)-9.7(thu)





長岡まちなかミュージアム2017「秋山孝のメッセージ~ナガオカヲ アルコーヤ!アルコーテェ!アオーレ!~」

  • 日  時:2017年 9月 1日(金)~7日(木) am10:00-pm5:00
  • 場  所:シティホールプラザ・アオーレ長岡
  • 来場者数:2,754名


「長岡まちなかミュージアム」は、NPO法人ながおか未来創造ネットワークが主催するイベントで、長岡駅前にあるシティホールプラザ・アオーレ長岡をメイン会場に、市内数か所の会場で開催する大規模な展覧会である。毎回、市ゆかりのアーティストが取り上げられているが、2017年の第3回は秋山孝ポスター美術館長岡(APM)館長・秋山孝が選ばれた。期間中には、通常は事前予約制をとっているAPMとAPM・蔵も予約無しで入れる開放日を設けた。(9月1日-3日の3日間)
秋山館長は、この展覧会を行うにあたり「市民にまちなかを歩いてもらうこと」が何よりも重要であると考えた。長岡駅前のメインストリートである大手通りは、近年、人通りが減少している。自分たちの暮らす街がこのままで良いのか、市民一人一人が問題を受け止め考えなければいけないのではないか、そのきっかけとして市民にまちなかに出てきてもらい、歩いてもらう企画にしなければならない。そう考えた秋山館長は、まず「ナガオカヲ アルコーヤ!アルコーテェ!アオーレ!」というキャッチフレーズを掲げた。これは「長岡を皆で歩きましょう!そして歩きましょう!アオーレ長岡で会いましょう!」という意味である。このコンセプトのもと、主催者側の担当者と打ち合わせを重ね、企画内容が決まっていった。
展示内容は、長岡駅前の4会場に秋山館長のポスター作品約200点を並べて展示した。メイン会場のアオーレ長岡西棟1階市民交流ホールAと西棟3階市民交流ホールB・Cには制作年に沿って最新作品から時代を遡るような展示をした。また、大スクリーンに秋山館長が故郷長岡への想いや、創作活動について語った映像を投影した。そのほかフェニックス大手イーストスクエアには「地震」、ながおか市民センター1階には「APM」、カーネーションプラザには「越後百景十選」をはじめとする「地域」と、各会場にテーマを設けそれに沿った作品を展示した。秋山館長の作品は、社会の抱える問題や事件を取り上げているため、作品を巡るとその時代背景が見えてくる。また、各会場にはその施設の過去の写真パネルも一緒に展示した。作品を巡りながら鑑賞者が長岡市の現在から過去を思い起こし、これから先の未来を考えて欲しいというのが秋山館長の願いである。
また、今回は市民に歩いてもらう仕掛けの1つとして「一輪挿しプロジェクト長岡」を立ち上げた。長岡市商店街連合会の協力のもと、大手通り、すずらん通り、セントラル通りの主要通り3本のアーケードの柱全てに一輪挿しと展示リーフレットを設置し、展示会場を結んだ。ガーベラの花とオレンジ色の秋山館長の作品が連なる様子は壮観であり、道行く人々の視線を奪っていた。このプロジェクトは「長岡まちなかミュージアム2017」の関連イベントで終わるものではない。まだスタートにすぎない。ゆくゆくは市民自身がそれぞれの玄関先にオリジナルの一輪挿しを飾り、自発的に管理してゆく形を理想としている。花以外にも俳句などが添えられるようになるとなお良し、と秋山館長は語る。一輪挿しを介して市民同士のコミュニケーションが生まれ、美的感覚や芸術的な心が現れることで、自分たちが暮らす街への関心が高まり、健全な街づくりに繋がっていくことを願っている。このプロジェクトこそが、デザイナー・秋山孝が故郷長岡へおくるメッセージなのだと感じた。(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)

長岡まちなかミュージアム2017「一輪挿しプロジェクト長岡/まちなかでスタート」

  • 日  時:2017年 9月 1日(金)


時代が変わるごとに、街に住む人々や街のあり方も大きく変化してくる。人々の心は私たちが生活し続けた場所に対して、大切に誇りをもって生きることが常である。しかし、人々が疲弊したり生活しづらい場所と思い始めると、その場は徐々にほころびを見せてくる。だから、人々はいつも共に生活する人を互いに信頼し、支え合わなければならない。この一輪挿しプロジェクトは、まちなかの一輪挿しに一本の花や植物を飾ることによって、互いに喜び合い、美しさを共有する隣り合うコミュニケーションを作り上げることを目的とする。その場は、小さな芸術的心を生み出し、会話が生まれ、そして文学や芸術的な表現も育まれてくる。例えば、その一輪の花を眺めながら、その感じた心から俳句、川柳、和歌、あるいは一片の詩が生まれ、また日本的自然観を見ることができる。その楽しき世界によって、街に美的空間や芸術的心が現れ出ることを楽しみにしている。
秋山孝(多摩美術大学教授、秋山孝ポスター美術館長岡・館長)2017年8月7日
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「一輪挿しプロジェクト長岡」は、2017年9月1日(金)~7日(木)に長岡駅前にあるシティホールプラザ・アオーレ長岡をメイン会場に開催した「長岡まちなかミュージアム2017~秋山孝のメッセージ~」を機に秋山孝館長が立ち上げたプロジェクトである。各家の玄関先に一輪挿しを設置し、そこに一本の花や植物を飾ることで、市民同士のコミュニケーションを生み、美的感覚や芸術的な意識が高まることによる街づくりを目指している。プロジェクトのスタートは、「長岡まちなかミュージアム2017」に合わせて長岡市商店街連合会の協力のもと、長岡駅前のメインストリート・大手通り、すずらん通り、セントラル通りの主要商店街アーケードの柱に瓶を設置し、そこにガーベラの花を飾って展示の4会場を結んだ。鮮やかな花が並ぶ様は壮観であり、道行く人々の視線を奪っていた。一輪挿しは、イベントの主催者であるNPO法人ながおか未来創造ネットワークのスタッフがすべて用意・管理したが、ゆくゆくは市民が自発的に管理をし、それぞれオリジナルの一輪挿しが並ぶことが理想の形である。すると、人々には一輪挿しを設置する柱や道の汚れにも気がつき掃除をしようという意識がきっと生まれてくる。また、一輪挿しを介して隣人や通行人とのコミュニケーションが生まれるだろう。そんな良い連鎖が、美しい街をつくり、街を大切に誇りに思う気持ちを育み、暮らしを豊かにするはずだ。もちろん、秋山孝ポスター美術館長岡の2つの施設でも一輪挿しプロジェクトは遂行している。このプロジェクトはまだ始まったばかりである。定着するには根気強さと時間を要するであろう。しかし、このプロジェクトが市民に浸透し、長岡駅前商店街から周辺地域に派生していき、一輪挿しで繋がる美しい街が生まれることを切に願っている(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)


長岡まちなかミュージアム2017「秋山孝のメッセージ」 掲載情報

■2017.09.03  新潟日報



秋山孝貼紙展中之口
2017.5.27(sat)-6.25(sun)





会場の様子



  • 会  期:2017年 5月 27日(土)~6月25日(日)
  • 場  所:新潟市中之口先人館 ギャラリー
  • 主  催:西蒲区文化施設を運営する市民の会

2017年5月27日(土)~6月25日(日)、新潟市中之口先人館において「秋山孝貼紙展中之口」を開催した。中之口先人館のギャラリーにビッグサイズのポスター30点を展示した。
きっかけは2016年9月、中之口先人館・館長自ら秋山孝ポスター美術館長岡(APM)を訪れ、秋山孝作品の展示を依頼したことに始まる。国内外で数々の賞を受賞し、国際審査員としても活躍しているAPM館長・秋山孝の作品を中之口先人館で展示し市民に紹介したいという思いから、依頼に出向いたという。
中之口は新潟県新潟市西蒲区の一部である。元は新潟県西蒲原郡中之口村といい、2005年の編入合併により新潟市となった。中之口先人館では、中之口出身の先人たちの業績を示す資料を展示している。代表的な人物としては、第36代横綱・羽黒山政司、文学博士・小柳司氣太、東映映画創設者・大川博などがあげられる。秋山館長は中之口先人館での展示が決まった際、中之口出身の力士、羽黒山関をモデルにポスターを作成することを決めた。中之口先人館が一番伝えたい人物だったとともに、秋山家には羽黒山関の書をもとに作られた刻字が収蔵されているという縁もあった。
展示する作品も千社札をモチーフとした「美術館大学2010」(2010)、デンマークのフィン・ニュゴーを力士に描いた「Finn Nygaard・Denmark」(2005)、写楽生誕200年を記念するポスター展のポスター「写楽生誕200年祭ポスター展1794-1994」(1994)など、展覧会ポスターに合わせ、相撲にちなんだ作品を中心に展示した。
また、新潟での開催ということもあり、「『越後百景十選』秋山孝ポスター展4/機那サフラン酒本舗」(2012)や「宮内・摂田屋百景 展『越のむらさき』」(2014)、「宮内・摂田屋百景 展2『宮内駅』」(2016)といった越後の情景を描いた展覧会ポスターも展示した。
APMの理想のひとつに、町全体を美術館と考えるという構想がある。5月から始まったAPMとAPM・蔵の2ヶ所を案内する形も、2ヶ所を徒歩で移動、案内することによって線でつながる。そこに第3の会場が加われば、線と線がつながり、面となる。面が広がることで町全体が美術館となると考える。APMは長岡市宮内・摂田屋から秋山作品やポスターというメディアの魅力を発信している。今回、新潟市西蒲区から秋山作品の魅力を発信できたのは小さくとも着実な一歩と言えるだろう。(森山奈帆・APM職員)



第25回企画展 秋山孝ポスター美術館長岡(APM)
Takashi Akiyama Poster-9
秋山孝の神秘3「パラダイム」展
2017.5.13(sat)-9.30(sat)





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2.「アプリケーションで開く」を選択
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会場の様子


正面の壁(東側壁面)

火の壁(北側壁面)

地の壁(南側壁面)

美の壁(西側壁面)

プレスリリース

秋山孝の神秘3「パラダイム」展 プレスリリース vol.1

第39回美術館大学 第一部

  • 日  時:2017年 8月 4日(金)pm1:50-3:20
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 講  師:上野裕治
  • 題  目:ランドスケープ・ストーリーズ
  • 参加者数:91名



2017年8月4日(金)、秋山孝ポスター美術館長岡(APM)展示室において、第39回美術館大学を開催した。2013年以来、4年ぶりに二部制での開催である。第一部を長岡市地域振興戦略部・地域づくりアドバイザーであり、元長岡造形大学建築・環境デザイン学科教授の上野裕治氏に、第二部を㈱高田建築事務所・取締役会長の高田清太郎氏、同代表取締役社長の高田清之介氏、APM館長であり多摩美術大学教授の秋山孝氏の3氏に務めていただいた。
第一部の上野氏は「ランドスケープ・ストーリーズ」と題して、自身の取り組んだプロジェクトを例題に、「パラダイム」とからめて講演した。プロジェクトでは農村におけるイノベーションを考えた。イノベーションは「技術革新」と訳されることが多いが、本来的には「価値基準の変革」という意味である。パラダイムという言葉が使われる「パラダイムシフト(注1)」と共通するところのある言葉である。
上野氏は、長岡市内で3つのプロジェクトを展開している。1つ目は三島地域の「竹あかり」、2つ目は蓬平地域の「雪あかり」、3つ目は比礼地域の「かかしプロジェクト」である。三島の竹あかりでは、竹を斜めに切断し、その中にろうそくの灯りを灯す。毎年10月に行われ、25,000個もの竹灯りが並ぶ。竹の節部分を切断し、節に2つの穴をあけるのが三島の竹あかりの特徴だが、その一手間で灯りが笑顔に見えるから不思議だ。蓬平の雪あかりは2月下旬から3月上旬の開催で、地域の神社及びその周辺をろうそくの灯りで彩る。雪だるまを制作したり、賽の神を行ったりもする。蓬平は温泉で有名な地域であるが2、3月は寒さも厳しく、雪に閉ざされる。その中で地域に住む人々を元気にするイベントとして開催されている。
比礼の「かかしプロジェクト」の話では、かかしとは何か、というところからスタートした。古くは古事記にも登場し、日本においては少なくとも700年代にはかかしが存在していたと考えられるという。かかしには、①鳥を追い払う、②人に見せかける、③田の神としての存在、の役割がある。しかし現代において、かかしの存在意義は少々変わってきている。農業従事者、稲作面積の減少により、かかしの設置も限定的になってきた。上野氏がかかし設置者と話していたとき、かかしの存在について話が及ぶと、「なんだかホッとする」という意見が出たという。このことから、現代におけるかかしの役割とは「農民の友」であるということが大きいと考えた。その農民の友かかしを制作し、プレゼンテーションし、コンテストで品評するのが比礼の「かかしプロジェクト」である。
以上3つの事例に共通するのは、いつもの風景にある刺激を加えることで変化する一瞬の風景を楽しむことである。また、展示作品のデザインは抽象化し、ストーリー性を持たせることを重視した。竹あかりの笑顔にしろ、雪あかりの雪だるまにしろ、デザインはシンプルでストーリーを投影しやすい。雪だるま2つが寄り添っていたら、見る人は雪だるまを親子と見たり、恋人と見たり、自由に想像できる。それが重要なのだという。かかしコンテストのプレゼンテーションもストーリーのある作品が高評価を得られやすいという。
こうした農村の機能は、生産地であることがそのひとつである。しかし、生産地としての農村の多くは農業従事者や農地の減少により既に破綻している。その対策として考えられることは3つあると上野氏は語る。1つは米の単価を上げること。米の単価が上がれば、農業で生活を成り立たせることができる。2つ目は直接支払い制度の導入。日本は価格支持、つまり関税を課すことで高い国内価格を維持している。これを農家に対して補助金を払うことで農家の所得を維持する直接支払い制度に移行することで、日本の農業は守られるのではないか。3つ目はライフスタイルを変換することである。例えば食料の半分を自給自足する、半日農業に従事し、半日会社員として勤めるなど、農業+αの考え方を持つことである。定年後は田舎で暮らしたいという夢を持っている人は多いだろう。そういった人々を呼びよせ、農地や空き家、耕作機械等も貸し、稲作も教える代わりに、農業の担い手として農村を守ってもらう。こうしたイノベーション、パラダイムシフトを考える時期に来ているのではないかと上野氏は訴えた。 (森山奈帆・APM職員)


第39回美術館大学 第二部

  • 日  時:2017年 8月 4日(金)pm3:30-5:00
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 講  師:高田清太郎、高田清之介
  • 進  行:秋山孝
  • 題  目:建築における『パラダイム』について
  • 参加者数:91名



2017年8月4日に開催した第39回美術館大学は二部構成で行った。第二部は開催中の企画展「秋山孝の神秘3『パラダイム』」を受け、「建築における『パラダイム』について」をテーマに、秋山孝ポスター美術館長岡(APM)サポーターズ倶楽部法人会員の株式会社高田建築事務所の高田清太郎代表取締役会長と高田清之介代表取締役社長が講師を務め、進行は秋山孝館長が担当した。
講演は3本の軸からの考察で構成されていた。「時間軸」「環境軸」「言葉軸」の3本である。
まずは、「時間軸」。第37、38回美術館大学で秋山館長が自身の創作活動におけるパラダイム(枠組)を語る上で、過去の美術表現の歴史を振り返る事を重点的に行ったが、建築におけるパラダイムを考える上でもそれは重要で、高田社長が過去の事例を紹介しながら、時代の中での建築のパラダイムシフト(注)について説明した。「変化の直前に身を置かなければその変化に気が付かない」という高田社長の冒頭の言葉がとても印象的であった。物事を学んだり、考える上でその過去を振り返ることはとても重要なのである。
建築の歴史の上で重要なポイントとなったのが「産業革命」であった。それ以前は石を中心とした積む構造が主流であったが、産業革命による機械化で、作業スピードのアップやコストダウンなどが進んだ。また、鉄という素材の著しい発展により、建築構造が大幅に変化した。膨張率が一緒だという鉄とコンクリートの奇跡的な組み合わせがそれをより発展させたといえよう。その後、フランク・ロイド・ライト(アメリカ)、ワルター・グロピウス(ドイツ)、ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ)、ル・コルビュジェ(フランス)といった建築界の4大巨匠を中心に建築の様式、考え方などのパラダイムシフトが展開されていき、現在に至る。
建築の歴史は社会的技術の発展と共にある。それは現在進行形である。一番旬な話題としては、3Dプリンターの誕生ではないだろうか。これにより一軒家がわずか24時間で、さらに破格の値段でつくることができるところまで技術はきた。日々刻々と新しい技術が生み出される中で、また、人々の価値観、生活様式が変化する中で、どのような考え方でどのような建築をつくるのか、建築家に課される課題は尽きることがない。
建築のパラダイムシフトの歴史を振り返った上で、続いて高田会長が高田建築事務所が掲げるパラダイムについて「環境軸」と「言葉軸」に2点から語った。独自の考え方を元に個性的で魅力的な建築を生み出し続ける同社の独自のパラダイムが垣間見えた。
まず高田会長は「住まい方を提案するのが建築家である」と考える。この考え方の元、高田会長は建築を、いや、人々の住まいを作り続けてきた。さらに、紀元前に活動した建築家ヴィトルヴィウスは「建築は強・用・美の総合芸術である」と建築観を提唱したが、高田会長はこの3つの大切な要素にさらに「COST(コスト)」と「CONCEPT(コンセプト)」の2つの要素(2C要素)が重要であると考える。それにより「おもしろさ」「楽しさ」が建築に加わる。この2C要素こそが高田建築事務所の独自性の素なのだ。
考え方の基本を確認した上で「環境軸」から同社のパラダイムを考える。そのキーワードは「VASIRU=場知る」である。(高田会長は言葉の持つ力を大切に考え、このような独自の造語も得意としている。)文字通り「場(環境)を知る」ことをとても重要としている。建築という概念が生まれる以前の古代から生き物はその風土故の居住を形成し、暮らしてきた。気候風土にあった建築であることが、心地よい暮らしを形成する上でとても重要なのである。同社がある新潟県の風土の特徴といえば、雪が大きい。雪に耐え、また上手く付き合っていけるかどうかが、この地域の建物では重要視される。雪の降る地域と降らない地域の建物では考え方は違ってくる。また、環境という視点では、気候だけでなく周辺の環境からヒントを探し出す場合もあるという。例えば、近所の公園の蓮の葉をモチーフに設計した教会である。さらには、精神病棟の設計には、長期入院を要する人へのケアに配慮した設計をした。その建物の利用状況という点での環境に焦点を当てたケースである。
次は「言葉軸」である。既述した通り、高田会長は独自の造語を得意としているが、建物にそれぞれ名称をつけている。それは技術的な部分から名付ける場合もあるし、建て主との打ち合わせの内容から名付けられる場合もある。例えば、やじろべえの原理を利用し生み出した耐雪構造を用いた「やじろべえ住宅」、子供にとって楽しい家を作りたいという想いからの「ドラえもん住宅」などである。そのそれぞれの名称が、建築をするにあたってのムーブメントを起こすためのパラダイムになるという。
最後に高田建築事務所の思考のパラダイムについて触れた。同社が必要とされる会社になるために必要な事として、「3つの『NE』がい(願い)」を掲げている。「Needs」「Neo」「Nesessary」だ。1つ目の「Needs」は客の希望・想いをしっかりと聞き取り、形にすること。これだけでは不十分であり、そこに新たなアイディアを付け加える事が重要だという。それが2つ目の「Neo」である。一度作ったもの(Needs)を少し離れて見てみる、そしてもう一度作る(Neo)。それはすなわちパラダイムシフトである。それができて初めて必要とされる存在になれる(Nesessary)という。既存のパラダイムだけで終わらず、さらなるパラダイムを構築し、客の希望以上の答えを出す。この事が高田建築事務所がこれまで発展し、必要とされ続けている理由なのだ。これは建築のみならず、すべての業界に通づる考え方なのではないだろうか。(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)
※注)思考や概念、規範や価値観が、枠組みごと変わること。


第38回美術館大学

  • 日  時:2017年 7月 8日(土)pm3:00-4:30
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 講  師:秋山孝
  • 進  行:たかだみつみ
  • 題  目:秋山孝の神秘「パラダイム」について2
  • 参加者数:57名

【表現する枠組】
秋山の研究領域は美術である。その側面から見るとアートとデザインの2つがあり、アートの「枠組」は「素材」、デザインの「枠組」は「条件」、とそれぞれ別の「枠組」を持っている。さらにデザインにはコミュニケーションツールとして「言葉と図像」「文字と絵」ということを意識することが重要であるという。秋山が自分自身に設定する「枠組」についての研究は、まずは過去の多くのアーティストが生み出してきた「枠組」を理解することから始まる。

アートの世界から見ていく。光と影の表現を確立したカラバッジョとレンブラント、フォービズム(野獣派)時代のマティスとルオー、抽象画を確立したピカソとブラック。さらに近代になると、それまで絵画は宗教と強い結びつきがあったが、そうではなく、宗教観を除いてもっと純粋に色と形を追求しようという「純粋美術」という考え方が生まれた。その代表的な美術家のバーネット・ニューマン、さらにはそれまでの絵画の枠組を壊してみたらどうなるか、ということを提唱したエルズワース・ケリー。

次にデザインの世界で見ていく。冒頭で提示したとおり、デザインにはコミュニケーションを要する。絵画とデザイン・ポスターは全く違う「枠組」を持ち、「枠組」が違うことによって考え方、目的が違ってくる。伝えるものも変わってくる。
講演では24人の画家、イラストレーター、デザイナーを取り上げ、彼らが作ってきた「枠組」を振り返った。秋山自身の「枠組」は、こうした過去に作られてきた「枠組」の理解、研究の連鎖で徐々にできあがってきたのだ。

では、具体的に秋山孝の「表現の枠組」を見てみる。まずは、「気合いが入っているものはつくりたくない」「自然感が大事である」と語る。また、ビビッドな色彩が特徴であるが、秋山は色には意味があると捉え、色選びにはとてもこだわっている。色数も最小限に留め、時には音が聞こえてくるような表現をしたいと試みている。さらに、作品によっては社会、時代をテーマに作品を制作することも重要としている。
これらの「枠組」はほんの一部であるが、秋山の作品を見ているとこれらの「枠組」が見えてくるのではないだろうか。見る側が共通の「枠組」を理解すること、それこそが秋山の「個性」として認識され評価されることとなった。正に「物の見方における支配的な認識の枠組」である。

秋山孝の表現の秘密を解き明かすことを目的とするこの「秋山孝の神秘」シリーズであるが、秋山はなぜ自ら企業秘密を明かすようなことを行うのか。なぜなら、そのような秘密を解き明かすことが学問というものだからである。アーティストであると同時に大学教授である秋山だからこその研究テーマではないだろうか。これも秋山孝の「パラダイム」のひとつである。(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)

秋山孝の神秘3「パラダイム」展 開催記念懇親会

  • 日  時:2017年 7月 8日(土)pm5:00-7:00
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 参加者数:51名

「秋山孝の神秘3『パラダイム』展」開催を記念して、懇親会を開催しました。


第37回美術館大学

  • 日  時:2017年 5月 13日(土)pm3:00-4:30
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 講  師:秋山孝
  • 進  行:たかだみつみ
  • 題  目:秋山孝の神秘「パラダイム」について
  • 参加者数:71名

秋山孝の創作の秘密を探るシリーズ「秋山孝の神秘」は今年で3回目となる。今回のテーマは「パラダイム (paradigm) 」だ。ここでは、「パラダイム」とは、「物の見方における支配的な認識の枠組」のことを意味し、秋山はこの「枠組」が重要であると考えている。今回の展示タイトルにもサブタイトルがついた。『「考える枠組」と「表現する枠組」』だ。美術館大学では、5月13日(土)と7月8日(土)の2回に分けてそれぞれの「枠組」について秋山が語った。

【考えるための枠組】
世界は多くの「枠組」の上に成り立っている。その基本的なものの1つに図形がある。「正多角形」や「正多面体」もそれぞれに決まった「枠組」を持つ。正多角体は、全ての辺の長さが等しく、全ての内角の大きさが等しい多角形のことを指す。そこには正円を接して並べることによって形成されている形が見えてくる。正多面体は、全ての面が合同な正多角形からなり、各頂点に集まる辺の数が全て等しい形をいう。紀元前3世紀にユークリッドが正多面体が5種類しか存在しないことを証明した。その「枠組」から、プラトンはものの根源的な形は正多面体であることを提唱した。
このように「枠組」の連鎖で物事の思考を発展させていくのだ。他にも私たちの身の回りに溢れる「枠組」の例として「黄金比」と「白銀比」、「√比率」を取り上げた。

さらにスポーツを例に挙げて秋山は説明する。スポーツも種類ごとに「枠組」を持つ。それはルールはもちろんのこと、競技をする場(サッカーではフィールド、ボクシングではリング)にも細部にまで決まりが定められている。それらの共通認識=「枠組」の中で戦いが繰り広げられることで、私たちは熱狂し、楽しむことができるのだ。中でも日本の国技である相撲の「枠組」は魅力的だと秋山は熱く語る。相撲の枠組には日本独自の知的な考え方、心がある。故に「神聖」なのだ。
全てのスポーツには「枠組」が存在するが、その「枠組」を壊してしまったものがプロレスである。スポーツとしての「枠組」は壊してしまったが、同時にプロレス独自の「枠組」を確立した。そこにはスポーツとは別の魅力が存在し、人々はエンターテインメントとしてそれを楽しみ熱狂する。
今回挙げた例はごく僅かである。この僅かな例の中でも「枠組」の中であればきちんとした答えが導き出せるということを理解することが大切であると秋山は言う。物事は、「枠組」が限られていれば限られているほど魅力的な答えが導き出せる。それは人生にも通ずる。現代は「君の人生は自由だ。何でも好きなことをしなさい。」という環境が良いと捉えられがちである。しかし、昔のように家業を継ぐのが当たり前で、生まれた時点で進む道が決まっているという状況下の方が優れた人材を育て、素晴らしいものを生み出すと考える。与えられた「枠組」の中でどう答えを出すのかが重要であり、魅力的なのだ。物事はひとつひとつ丁寧に答えを出し、それの積み重ねで作られていくということを忘れてはならないと秋山は力強く訴えかけた。秋山も自分自身に「枠組」を設定しながら作品制作をしている。それはどんな「枠組」であろうか。それは後半の第38回美術館大学へと続く。(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)

秋山孝の神秘3「パラダイム」展 開催記念懇親会

  • 日  時:2017年 5月 13日(土)pm5:00-7:00
  • 場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
  • 参加者数:55名

「秋山孝の神秘3『パラダイム』展」開催を記念して、懇親会を開催しました。


秋山孝の神秘3「パラダイム」展 掲載情報

■2017.07.01  「Jagda Map 7_8」


■2017.05.01  「ナジラビ 長岡・見附版」 p.25


■2017.04.25  「HotPepper 2017年5月号」



ふなばしアンデルセン公園子ども美術館「第8階きりがみ展」
JBD2016「マッチ売りの少女」受賞・入選作品展示

  • 展示期間:2017年 4月 14日(金)~7月23日(日)
  • 場  所:ふなばしアンデルセン公園子ども美術館


秋山孝ポスター美術館長岡(APM)館長・秋山孝が開園から携わっている、ふなばしアンデルセン公園(千葉県船橋市)。2015年に世界最大級の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で発表された「日本の人気テーマパーク」で3位に選ばれて話題にもなった施設だ。その名の通り、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの出身地であるデンマーク・オーデンセ市との交流も行っている。その1つが「きりがみコンクール」だ。公園内にある「子ども美術館」で毎年開催しているコンクールで、アンデルセン童話を題材にした切り紙作品のコンクールである。アンデルセンが切り紙の名手だったことから由来する企画である。表彰式にはデンマークから来賓を招待し、大賞受賞者には副賞としてデンマークへの旅が授与される。秋山館長はこのコンクールの審査員を務めている。
その縁もあり、今年の「きりがみコンクール」の作品展会場内で、APM主催「日本ブックデザイン賞(JBD)2016」の課題図書・アンデルセン作「マッチ売りの少女」を題材とした受賞・入選作品32点を展示した。アンデルセンを愛するデンマークの人々や子供たちの目にこの作品たちはどのように映っただろうか。JBD2017の課題図書にもアンデルセン作「赤い靴」が入っている。アンデルセン文学を通してデンマーク(オーデンセ)、船橋(アンデルセン公園)、長岡(JBD)が繋がり、魅力的な広がりが期待できそうだ。(たかだみつみ・APM事務局長、学芸員)




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