12月の冷たい雪が降る中、上組小学校の6年生が美術館まで元気に歩いてやってきた。「こんにちは」と明るい挨拶が響き、普段は静かな美術館が活気づく。友人とおしゃべりしながら作品を眺める生徒あり、ひとりでじっと見つめる生徒あり、先生に話しかける生徒あり、と館内を自由に見学している間も、賑やかであった。が、先生が授業を始めようとすると、きちんと所定に位置に各自が椅子を持って並ぶ様子は、さすが最高学年である。本日は、秋山先生のポスター作品にセリフを入れてみようという授業である。担当教諭は金澤健志先生。暗くなった美術館の真っ白な壁に、今回のテーマでもある「あなたならどう読む?絵にこめられたメッセージ」という文字が映し出される。金澤先生がセリフを入れるよう選んだ作品は、秋山先生の初期の作品「Takashi Akiyama(4+1 Poster Exhibition)」。この中の登場人物であるパイロットとダチョウの置かれた状況をよく考え、その人物になったつもりでセリフを入れるのが生徒たちの作業となる。生徒それぞれが作品を見、プリントに向かい、一生懸命セリフを考え出す。時々金澤先生が生徒たちに声をかけ、作業を導いてあげていた。時間となり、生徒たちが自分の考えたセリフを発表すると、みな真剣に友人の考えを聞いていた。中にはこちらがはっとするようなセリフを考える生徒もおり、想像力の豊かさに驚かされた。飛べない鳥であるダチョウが、パイロットの操縦する飛行機に乗ることで空を飛ぶ。それを的確に捉え、言葉として表現することが求められる課題であった。「秋山先生はこの作品で何を伝えたかったのか」という発問に対しては、「飛べないダチョウも飛ぶことができた。私たちもできないことなんてない」という答えが聞かれた。この作品を選んだ金澤先生は、「卒業していく6年生の君たちにふさわしい作品だと思った」と、今回の課題をこの作品にした理由を語った。(APM職員)