上組小学校6年生がAPMを訪れた。10月とは思えないほど冷たい雨の振る中、それでも元気に歩いてやってくる姿には、こちらもつい笑顔になる。本日の授業は「鑑賞」。授業の始めにワークシートが配られると、さっそく生徒たちは作品を見たり、解説を読んだり、友達と話し合ったり、先生に助けを求めてみたりと館内はおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさになった。今回展示してある作品は、多摩美術大学の大学院生・卒業生の作品であり、さまざまなテーマ、手法で描かれている。ワークシートの設問にも、テーマを問うものだけでなく、技法を尋ねるものもあった。どの設問も「正解」があるわけではないので、理由がいえたらOKとしてあったが、小学生の発想の豊かさがとても面白かった。
例えば、「『勉強の楽しさ・大切さ』を伝えようと描かれた作品は?」という設問に対しては…
回答1 |
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回答2 |
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「『火』を使って描かれた作品は?」という設問に対しては…
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回答2 |
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といった様に、自由で楽しい回答が続出。当館職員に対する質問項目も設けられており、「展示の仕方で工夫しているところはあるか」「仕事をしていて嬉しいときはどんなとき」など、「こだま美術館」を運営している生徒らしい的確な質問だった。(APM職員)
第8回美術館大学が無事に終了すると、30分の準備時間をはさんで交流会へと突入する。お客さまが展示室の作品を眺めている間に、イスが片付けられ、テーブルが出され、食べ物・飲み物が並べられていく。多摩美術大学の学生がきびきびと動き、あっという間に会場の準備を整えていく様は、見ているこちらまで気持ちいい。毎回APMでは、身近でがんばっているお店を応援したいとの想いから地元のお店を利用することが多い。今回は、Gadjo Dilo(ガッジョディーロ)さんのカレー、旭屋さんのパン、やまやさんのお刺身、右門明治堂さんのお饅頭などがずらりと並んだ。お酒は定番のビールやワイン、チューハイのほか、新潟の日本酒、吉乃川・長者盛も用意した。Gadjo Diloさんは、小さなワゴンでカレーを提供する移動販売のお店だ。交流会ではタイカレーとインドカレーの2種類を出してもらった。どちらも美味しかったが、特にタイカレーはすぐに売切れてしまうほどの盛況ぶり。サービスのチャイも好評だった。長岡市内を中心に活動しているが、依頼があればどこにでも向かうそうだ。旭屋さん、やまやさん、右門明治堂さんはAPMのご近所さんだ。旭屋さんではアイスパンというものを用意していただいた。パンの中にアイスが入ったもので、シューアイスみたいである。参加者は全員、思い思いの場所で好きなものを食べ、飲み、会話を楽しむ。ある人は学生に作品の説明を受け、ある人は今回の講演者に質問を投げかける。外の夜風に当たりながらのんびりとお酒を楽しむ人も。また、この日は多摩美の大学院生・卒業生から1周年を迎えたAPMに記念樹の贈り物があった。長岡市の木、ケヤキの木だ。これから雪の季節を迎えるが、寒さに負けずにAPMを見守っていってほしい。後日、大学院生・卒業生代表として末房様から、ケヤキに挿すかわいらしいプレートをいただいた。今はケヤキの傍らで、雨にも風にも負けずキラキラ輝いている。(APM職員)
APMの建物が、以前は銀行だったのをご存知だろうか。ホクギンとして市民の皆様に親しまれている北越銀行の、宮内支店がAPMの建物の元の持ち主だ。その北越銀行宮内支店が今年90周年を迎えた。それを記念した講演会の講師として秋山先生にお声がかかった。今回の講演では、APMの魅力について語られた。APMには、1.小さい美術館であること、2.歴史のある建物であること、3.サポーターズの力でできていること、などいくつかの特色がある。それらの特色は、そのままAPMの魅力となっている。APMは小さい美術館である。しかし、小さいからこそできることもある。例えば、APMでは小さなお子さんが走り回ることにも、大声を出すことにも寛容だ。近所の上組小学校の2年生が見学に訪れたときの写真を見た秋山先生は、美術館のフロアに座り込み、自由に鑑賞する小学生の姿を見て、これこそが重要だとおっしゃった。自由に「見て、考えて、学べる」空間となることを望んでいる。APMとしての歴史はまだ1年と浅いが、建物自体は大正時代からのものである。ホクギン宮内支店として、田上商店の倉庫として利用され、現在は美術館である。その間には長岡空襲があり、中越地震もあった。美術館を訪れた人に地震について知って欲しいと、地震のときに割れてしまった窓はそのまま残してある。美術館としての歴史もこうして刻まれていくのだろうか。最も重要なのが、APMは市民の力でできているということである。市民の力というものが何よりも大切で、誰かに言われて何かをするよりもはるかに強い力を持っている。確かにサポーターズの皆様の厚意には、いつも頭が下がる。イベントのたびに駆けつけてくださる方、さりげなく手伝ってくださる方、何はなくとも訪れてくださる方など、みんなで創りあげている美術館なのだという気持ちが伝わってくる。これからも皆様に愛される美術館でありたいと思う。北越銀行もそれは共通の想いであり、「地域の皆様のお役に立ちたい」と述べていた。(APM職員)
昨年のオープンから1年がたった。ようやくこの美術館も1歳(ただし建物自体は85歳とかなりの高齢!)。秋山孝ポスター美術館長岡の略称「APM」も耳になじんだ。この日は1周年を記念して、会員同士の親睦を深めていただくことを目的に、懇親会を催した。盛大な会、とはいかないが、たくさんの方に手伝っていただきAPMらしい温かみのある会となった。会場に集まった方たちに共通するのは、当美術館のサポーターズ会員であるというだけ。初めて顔を合わせる方がほとんどのはずだが、みなさん楽しそうに過ごしてくださったように感じた。懇親会も終盤になると、美術館から花火のプレゼントが!ささやかな手持ち花火ではあったが、多摩美術大学の学生さんなどは童心に返り、はしゃいでいた。懇親会終了後も、まだまだ話の尽きない会員同士で2次会会場へ。今回は人数が多いこともあり、2会場を用意した。どちらも地元のお店で、秋山先生のお気に入りである。(APM職員)